エネルギーバンド問題に対する従来のアプローチからの脱却は、3つの方法で達成される。 まず、配位子に沿った原子の3d軌道からの電子をR<Rcでは集団電子として、R>Rcでは対応する電子が局在したハイトラー-ロンドン電子として扱わなければならないような臨界原子間隔Rc≲(2.9±0.1) Aがあることが指摘された。 3d波動関数は異方的であるため、局所的な3d電子と集団的な3d電子が同時に存在する可能性があることを意味する。 第二に、局在電子はフント則に従うため、原子モーメントを寄与する可能性が指摘されている。 これは、対応するエネルギー準位(ナローバンド)が不連続なサブバンドに分割されることを意味する。 集団的な3d電子からのモーメントは、同時に存在する局在電子によって、原子内交換を介して誘起される。 第三に、近接反強磁性秩序が格子全体に伝播し、近接3d軌道が半分以上埋まっていれば、集団電子(R<Rc)は結合バンド形成により安定化されると主張している。 軌道が半分以上埋まっている場合、「余分な」電子は最近接間の反強磁性相関によって安定化することができない。 反強磁性的な最近接秩序が不可能な場合、電子は通常の金属バンドを形成する。 これらの観測は、遷移金属とその合金におけるパウリ常磁性、反強磁性、フェリ磁性、強磁性に鋭い基準を与えるものである。 また、これらの観測結果をもとに、電子相関を定性的エネルギー図に明示的に導入し、半経験的状態密度曲線を構築することができる。 このモデルによって、第一期の長周期遷移金属とその合金の相安定性、磁気特性、電子比熱、ホール効果データ、フォームファクター測定の一貫した解釈が可能になることが示された。
- Received 15 September 1958
DOI:https://doi.org/10.1103/PhysRev.120.67