Background: これまでの経済不況と同様に,2008年の経済危機,失業率の上昇と自殺の関連について議論がなされてきた。 失業は個人の健康に直接影響を与えるため,当然のことながら,失業と自殺の関連性が研究によって提唱されている。 しかし、世界各地の年齢・性別・国別のサブグループにおける特定の時間傾向を考慮し、失業と自殺の関係を検討する統計モデルはまだ存在していない。 我々は、世界地域別に分類されたグローバルな公開データを分析することで、失業が自殺に及ぼす具体的な影響についての知見を深めることを目的とした。

Methods: 2000年から2011年までのWHO死亡率データベースと国際通貨基金の世界経済見通しデータベースから、自殺、人口、経済に関する公的データをレトロスペクティブに分析した。 サンプルサイズとそれぞれのデータの完全性に基づいて63カ国を選択し,4つの年齢層と性別に関する情報を抽出した。 調査結果の安定性を確認するため、全調査対象国を含む全体ランダム係数モデルと、それぞれ異なる世界地域を対象とした4つの追加モデルを実施した。

所見 世界4地域の違いはあるものの,失業率で調整した全体モデルでは,2000年から2011年にかけて自殺の相対リスクは年間1~1%(95%CI 0~8~1~4)減少したことが示された。 最も安定した最終モデルは、自殺率の上昇は失業率の上昇に先行し(6カ月遅れ)、その効果は非線形でベースラインの失業率が低いほど高くなることを示した。 すべての世界地域において、失業に関連する自殺の相対リスクは、調査期間中に約20~30%上昇した。 全体として、2007年には41,148人(95%CI 39,552-42,744)、2009年には46,131人(44,292-47,970)が失業と関連しており、2008年の経済危機以降4983人が超過自殺をしたことが示された。

Interpretation: 失業に関連する自殺は,直近の経済危機に起因する過剰な自殺よりも合計で9倍高い死亡数となった。 失業者や雇用とその条件に焦点を当てた予防戦略は、困難な時代だけでなく、経済が安定している時代にも必要である。

資金提供。 チューリッヒ大学

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