山口泰成、木本壮平、長濱剛、岸本俊文
橿原医科大学精神医学教室
目的:躁病・軽躁病の用量関連性(Doseage-reductive personality of escitalopram treatment-emergent mania/hypomania)。 様々な抗うつ薬による治療が大うつ病エピソード中の気分転換をもたらすことはいくつかの研究で報告されている。 新しい選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の一つであるEscitalopramは,比較的高い有効性と受容性から好ましいと考えられている。 エスシタロプラムの投与により躁転した症例が数例報告されているが,この作用が投与量と関連しているかどうかは不明である<6554>。 今回,大うつ病エピソードに対してescitalopramを投与された患者において,治療により誘発された躁病/軽躁病の3例について検討した。 双極性障害の家族歴や既往歴のある患者はいなかった<6554>。 3例とも,エスシタロプラムを20 mg/日に増量した直後から1か月以内に躁病または軽躁病の症状が出現した。 さらに,エスシタロプラムの減量に伴い躁病エピソードは沈静化した。 エスシタロプラムの投与を中止した後も気分転換は認められなかった<6554>。 我々のケースシリーズは,エスシタロプラムが投与量に関連して治療開始時の躁病/軽躁病を誘発する可能性があることを示している。 双極性障害や大うつ病の患者においては,低用量で慎重に漸増することが,気分転換のリスクを最小限にするために望ましいと思われる。

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