タンパク質合成は、構造整列だけでなく多くの酵素が関わる複雑な多段階のプロセスである。 しかし、細菌のタンパク質合成を阻害する抗生物質の大半は、70S細菌リボソームの30Sサブユニットまたは50Sサブユニットでのプロセスに干渉する。 ペプチド合成に必要な各アミノ酸を活性化するアミノアシルtRNA合成酵素は、抗生物質の標的にはならない。 むしろ攻撃されるのは、(1)30S開始複合体(mRNA、30Sリボソームサブユニット、ホルミルメチオニルトランスファーRNAからなる)の形成、(2)30S開始複合体と50Sリボソームによる70Sリボソームの形成、(3)アミノ酸をポリペプチドに組み立てる伸長過程、といった主要ステップなのである。

ドキシサイクリンを含むテトラサイクリン系薬剤は、30SリボソームのA(アミノアシル)部位をブロックすることにより、アミノアシルtRNAの結合を阻害する。 70Sと80S(真核生物)のリボソームのタンパク質合成を阻害する能力があるが,RNAサブユニットの構造の違いからバクテリアのリボソームに優先的に結合する。 さらに、テトラサイクリン系抗生物質は細菌の輸送系を利用し、細胞内の抗生物質濃度を環境濃度よりも著しく高くすることで細菌に対して有効である。

アミノグリコシド系抗生物質は30Sリボソーム亜ユニットに対して親和性を持つ。 最もよく使われるアミノグリコシド系抗生物質の一つであるストレプトマイシンは、30S開始複合体の生成を阻害する。 カナマイシンとトブラマイシンも30Sリボソームに結合し、より大きな70S開始複合体の形成を阻害する。

マクロライドであるエリスロマイシンは、50Sリボソームの23S rRNA成分に結合して50Sサブユニットの集合を阻害する。 エリスロマイシン,ロキシスロマイシン,クラリスロマイシンはいずれも50Sポリペプチドの輸出トンネルを阻害することにより,合成のトランスペプチドの段階で伸長を阻害する. 3625>

ペプチジルトランスフェラーゼはペプチド伸長サイクルの最後のステップであるトランスロケーションに関与する重要な酵素である. リンコマイシンとクリンダマイシンはペプチジルトランスフェラーゼの特異的阻害剤であるが、マクロライドはこの酵素を直接阻害しない。 3625>

Hygromycin B はアミノグリコシドで、30S サブユニット内の、tRNA の A、P、E サイトを含む領域の 1 つの部位に特異的に結合する。 この結合がリボソームのA部位を歪め、ハイグロマイシンがアミノアシルtRNAの誤読を誘発し、またペプチド伸長の転位を妨げる原因であろうと理論されている

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