乾燥したタンパク質が水分の多い空気にさらされると、タンパク質によって異なるが、通常はタンパク質の重量の10~20%の量まで急速に水と結合する。 タンパク質の親水基は、主にリジン、アルギニンの側鎖の正電荷基とアスパラギン酸、グルタミン酸の負電荷基である。 水和(すなわち水の結合)はセリンとスレオニンの水酸基、またはアスパラギンとグルタミンのアミド(-CONH2)基でも起こりうる。

水分子が荷電基または極性(一部荷電)基に結合することは、水分子の双極構造で説明できる。すなわち、2つの正荷電水素原子は105°程度の角をなし、頂点に負荷電酸素原子を持つ。 正電荷の中心は2つの水素原子の間にあり、酸素原子の負電荷の中心は角の頂点にある。 双極子である水分子のマイナス極はプラスに帯電した基と結合し、プラス極はマイナスに帯電した基と結合する。

水和水はタンパク質結晶の構造に不可欠であり、完全に脱水されると結晶構造は崩壊する。 水溶液中では、タンパク質は水分子のいくつかと非常に強固に結合し、他のものは非常に緩く結合するか、折り畳まれたペプチド鎖のループの間に水分子の島を形成している。 このような島の水分子は結晶水である氷のように配向していると考えられるので、タンパク質中の水の島は氷山と呼ばれている。 また、水分子は隣接するペプチド鎖のカルボニル基とイミノ基の間に橋をかけ、プリーツシートに似た構造をとることもあるが、その配置の水素結合の位置に水分子が存在することになる。 水溶液中のタンパク質分子の水和の程度は重要である。タンパク質の分子量を測定する方法の中には、水和タンパク質の分子量を求めるものがあるからである。 水溶液中の球状タンパク質1グラムに結合する水の量は、0.2グラムから0.5グラムと幅がある。 例えば、1グラムのゼラチンは室温で25から30グラムの水を固定化することができる。 水に溶けたタンパク質に硫安などの塩を加えて水和水を減らすと、タンパク質は溶解しなくなり、塩析する。 塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの塩を加えてもタンパク質は変性しないので、塩析の過程は可逆的である。 グロブリンの中には、塩のない状態では水に溶けないものがあり、これは隣接する分子の表面にある極性基が相互に作用して、大きな分子集合体を形成するためであると考えられている。 少量の塩を加えると、オイグロブリンは溶解するようになる。 この過程は塩析と呼ばれ、塩のアニオン(負電荷イオン)およびカチオン(正電荷イオン)と、正および負に帯電したオイグロブリンの側鎖が結合することによって生じるものである。 この組み合わせにより、オイグロブリン分子間に塩橋が形成されるのを防ぎ、分子の凝集を防ぐことができる。 さらに硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムを加えると、オイグロブリンは再び塩析して沈殿する

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